ATELIER
私は1999年事務所設立以降小さいアトリエながら、住宅はもちろん医院の設計やレストランの設計、最近ではお寺の納骨堂や庫裡の設計もやらせていただきました。
そのすべての建築において大切にしてきているキーワードが、「飽きない」と言うことです。
単に住むだけの箱としての「お家(おうち)」、ご先祖様を祀るためだけの施設としての「お寺」、一夜を過ごすためだけ場所としての「お宿」が、
この先何年も愛情をもって「飽きない」と言えるでしょうか。
本当の意味での「飽きない」とは今だけでなく10年後・20年後を見て「必要」と思えることを見定め、最後に形になったものにこそ当てはまると思います。
また、お庭には建築を引き立たせてくれる魔法が、家具には人々を気持ちよく包んでくれる魔法が、
ライティングには場に品を与えてくれる魔法があります。高価なものを表層に足していくのではなく、それらをうまく調和させることで
全体に品を纏わせることが出来ると考えています。
宝角建築アトリエは建築を核に庭や家具・ライティングなどトータルで提案することで「飽きない」建築を求めて頑張って取り組んでいきたいと思います。
1970年兵庫県姫路市に生まれる。その後、愛知工業大学で土木工学を専攻する。
大学卒業後住宅メーカーに就職し現場監督になり、次に名古屋の設計事務所、アーキハウスに入所し設計の修行をする。その後1999年に独立し現在に至る。
実家は旧国道沿いに明治23年頃に建てられ、隣は1668年に開基のお寺がありました。
廻りは空襲に合わなかった為に実家と同じようなつくりの物が立ち並ぶ、古い町並みが続ているそんな環境で育ってきました。
幼少期には古い町並みに何も感じることもなく、過ごしていましたが、
月日とともに廻りの旧家は新しい家に建て替わり今では実家のような古い家もほとんどなくなってきました。
大学生になり、時々実家に帰省をした時に今までその家を建築として見たことは一度もありませんでしたが、
ある時から「プロポーションが綺麗」と思うようになりました。
しかし、自分の家の周りの旧家はどれも瓦の切妻屋根で1層が格子壁で2層が漆喰の虫籠窓。
ほとんど同じ仕上げなのに綺麗な建物とそうでない建物がありました。
その時建築は仕上げではなくプロポーションなんだと感じるようになり、そこから建築に興味を持つようになりました。
また、帰省の度に次々と移り変わっていく生まれ育った街並みに、自分自身明確な意味は分からなかったですが、
大切な財産が削り取られるようなそんな漠然とした感覚がありました。
今では歴史と言う過去が残っているだけで、街並みとは言い難いのが現状です。
もうここから街並みが生き返ることはないですが街並みや街づくりに興味をもったことはこの実体験からだと思っています。