Hitorigoto

ひとりごと

宝角建築アトリエの考え

時代的と普遍的

 

・和風建築を普遍的と捉えて

トップにある画像は自邸の画像です。まもなく10年目を迎えます。
タイトルにある時代的と普遍的と言うワードですが、時代的と言う表現はなかなか表現が難しいです。私的にはその時代に合わせたニーズをくみ取って表現することのように思います。時代の移り変わりに合わせて時代に即応したことを表現していく様とでも言うのでしょうか。
また普遍的と言うのは、時代に影響されず、基本的な考えを変えずにアップデートしていくことではないかと私は考えています。
どちらが正しいと言う事ではなく、そういった「想い」が設計する側の根底にはあると言う事です。
ヴィンテージカーにはヴィンテージカーの良さが、最新型の車にはその車の良さが、機械式時計には機械式時計の良さがスマートウォッチにはその良さがそれぞれあるように、作り手が何に向けて、何を表現したいのか、クライアントは何を求めているのか・・・、そんな考え方で設計士を見てみると新たな発見があるかもしれません。
私は和風建築が代々脈々と受け継がれてきた「想い」を普遍的に捉えて設計したいと考えています。

 

 

・設計の基準は今なのか、10年後なのか

建築を求められると、クライアントの意向を汲み取って設計を進めますが、私自身は設計をするにあたって、竣工した後の10年後も新鮮な想いで建築と向き合えるかを想像しています。その時代ぽいことにならないように気にしています。10年ひと昔と言いますが、10年経つと設計の世界も時代が移っていきます。そしてクライアントも10年歳をとります。そのことを少し頭に置いてみると庭の在り方や部屋の広さや素材のセレクトなど見えてくることも変わってくるかもしれません。表現が難しいですが、10年後をゴールとみなしているわけではありません。10年新鮮な気持ちで迎えることが出来ればきっと永年同じ気持ちで居れると私は思っています。

 

・和風建築が紡ぐ、クライアントとの出会い

圧倒的な存在感のある建築は、私はなかなか設計できないです。それは10年後には飽きてくるように感じるからです。それよりも建物を通り過ぎた後に、ふと振り返って見直すそんな建築が出来たら最高だと思います。特別高価な素材を使っているわけでもなく、流行りの素材を選んでいるわけでもなく、でも完成した建築の佇まいにふと足を止めてしまう、そんな建築を目指して日々図面を描いています。それが私にとっての良い建築だと思っていますし、そのような想いを求めているクライアントとの出会いはかけがえのない「縁」だと思います。