Hitorigoto

ひとりごと

寺院の二本柱

宗教活動と法人運営

寺院を営んでいく上で押さえないといけない根本的要素があります。それは宗教活動と法人運営です。ごくごく当たり前のことを書かせていただきましたがしっかりと捉えて生かして活けているかと言うといかがでしょうか。宗教活動はどのお寺も一生懸命にされている思いますが、法人運営はどこまで考えてられるでしょうか。
法人運営とは何かと端的に言うと収入(利益)です。ただ熱心な住職になればなるほど、宗教活動と利益を結び付けられなくて「利益」を求めてはいけないと思われている様に感じます。日本はこれから少子高齢化で人口が減少していきます。その現実は理解されている中で収入(利益)から目を離すのはお寺の為だけではなく、永くは檀家さんの為にもならないと私は思っています。

 

意識改革

今までの寺院は建物の修繕や建て替えは寄付を求める事が一般的だったかもしれません。しかし、高齢化の中で檀家さん自身の介護や補助のコストがかかってくる中、お寺の為の寄付が今までの様に集まることは、ほぼ奇跡的だと思います。そういう従来型の法人運営方法は通用しないはずです。
「何も変わったことはやっていないのに収入が減った」から「何もやっていないから収入が減った」と考えを改めるところに来ていると思います。これはお寺に関る方々、ここでは住職のような直接お寺に関っている方だけではなく総代会のように間接的にでもお寺に関っている方々の意識を見つめなおさなければいけません。
総代会のメンバーの方は、もしかすると75歳以上の高齢の方が多いかもしれません。逆に住職は代が変わったり現役バリバリでも70歳以下や40歳前後の方が多いのではないでしょうか。そうすると住職より総代会のメンバーの方が年上で先代からのつながり等でなかなか住職として意見を言えない状況もあるのではないでしょうか。そんな状況下でも将来のお寺を考えるのであれば、代が変わる前に住職ご自身でこれからのお寺を総代会等の方々と考える時だと思います。

 

寄付に頼らない寺院運営

寄付と言うのには2種類あります。ご厚意としての寄付と強制的な寄付だと思います。先にも書かせていただいた様に強制的な寄付はほぼ期待できません。「寄付に頼らない」寺院としてどう運営戦略をたてるかは、宗教法人として永続的に維持するためには非常に重要になってきます。永く続くことは最終的に檀家さんの為になると言う事を知って頂きたいと思います。

 

 

寺院全体を魅力的な場所にする

今回載せた画像は愛知県西尾市の普元寺さんの境内です。納骨堂や庫裡を設計させていただき、「もみじの森のテラス」と言う地元の方に楽しんでいただける「場所」を設えました。いかがでしょうか、決して設計した建築物が主役になっているのではなく、本堂を含めた既存の建物や緑を使った「景観」を楽しんで頂いてます。TOPに載せたご夫婦が本堂の階段に腰かけてお庭を眺めています。2枚目は紳士の方が休憩ラウンジで紅葉を眺めています。3枚目は境内でイベントを開催した時のお庭を眺めながらのワンプレートディナーです。こんなワンシーンがお寺の境内を使う事で現実になります。

 

全てはご縁の為

お寺に関係のない方がお寺を知ることで長期的な「ご縁」につながると考えています。残念ながら個々の行為で「ご縁」につながることはないです。もっと言えば私の設計した建築で「ご縁」につながることも期待できません。建築も緑もライティングも催しや教室もすべてご縁につながるきっかけ作りでしかありません。

 

想いを繋ぐ

宝角建築アトリエは建築を入口にして緑や催しなどトータルで住職とお寺を「魅力的に場所」にしたいと考えています。これは50年後・100年後と時代が変わり、住職の代が変わってもこの「想い」は繋がっていくと考えています。「想い」が繋がれば、必ずお寺は50年・100年と引き継がれていくと思います。