Hitorigoto

ひとりごと

垢ぬけた日本建築

和瓦のむくり屋根を作り続けて

実は1999年の独立処女作が板金のむくり屋根でした。そこから相も変わらず一つの事を設計している自分は正直、むくり屋根の設計依頼は早々になくなるだろうと思っていました。しかし、細々ながらずっと依頼がありほぼすべての方が和瓦のむくり屋根を求めてらっしゃいます。非常にありがたいことであります。最近は寺院のお仕事も増え、なお一層和瓦のむくり屋根に繋がっています。

 

垢ぬけた日本建築とは

この言葉に定義は無いと思っています。ただ日本建築には古臭さや古民家の印象が強く「好き」と思ってもそれを時代的にアップデート出来ていない日本建築が多いから、お客さんからは手を出せないのかなと言う印象を持っています。そんな時に「垢ぬけた日本建築」と表現した時に「そう、それなんです」と言われ自分自身大きなヒントとなりました。写真でも分かりますが、瓦・左官・木と言う大きく3つの要素を余計な設えを省いて完成させています。日本建築にあるような真壁でもなく木を外部にたくさん使う訳でもなく、でも日本建築にある「佇まい」や「品」が出ていると思っています。この「佇まい」こそが垢ぬけた印象になっていると思っています。

 

ポスターの様に考える

ポスターは背景・シンボル・情報の3要素を3色で表現していると思っています。だからこそ、それぞれが引き立ち見る人に伝わると思っています。私は建築も同じように考え、外観も素材・色を3つ程度で表現するようにしています。内観も同じで左官・木・石の3つの素材と色で表現を心がけています。建物が完成して、生活が始まるとリモコンや雑誌・調味料や郵便物などなど生活するうえでどうしても整理しきれないものは多々出てきます。日常生活を送るうえで出てくる色や素材を見越して設計段階では極力色・素材を減らす事を心がけています。そして日常の中でもごちゃごちゃせずにある程度すっきり見えるのではないかと思います。そんな風に建築をポスターの様に見ると、また新しい発見があるかもしれません。