Hitorigoto

ひとりごと

お寺の認知

お寺からご縁の遠い人を見る

ある宗教法人の調査で、これから10年で3割のお寺が淘汰されていくとの調査があるそうです。それとは別に人口減少のことや宗教への無関心もございます。このことは今に始まったことではありません、何十年も前から予想されていたことが、もう目の前に迫ってきています。
お寺でのお仕事させて頂き、お仕事とは別でも様々なお寺さんとお話をする機会が増えてきました。当然、お寺として多様なご意見があり、お考えもあります。その中で私の様にお寺とは無縁の人間にとって、フラットな想いでお話を聞いていると、お寺からご縁の遠い人に目を向けてらっしゃる住職と、お寺に近しい方(関係者や門徒様など)を第一に思ってらっしゃる住職の2つに分かれるように見えます。
前者の方はお寺を知って頂くために催し事や教室、ホームページも充実してSNSでの情報発信にも積極的です。もう一方の後者の方は情報発信への考えが希薄の様に感じます。それは単に情報発信だけではなく、ちょっとした法話(住職のお話)を聞いていても、前者の方はお寺からご縁の遠い方を見ているので、仏教などの専門用語ではなく相当嚙み砕き、わかりやすい表現をされます。逆に後者の方は、専門用語や「教え」などの説明が難しい表現をされるように感じます。私の様にお寺に無縁の人間からするとそれは「知って頂こう」と「知っているよね」くらい違います。
私はお寺と言う特性上、5年・10年後ではなく数十年後のお寺を考えないといけないと思います。その時に今一度お寺の方々(住職だけではなく、総代会の方々も)の意識を一度リセットするくらいでないとなかなか変わらないのではないかと思います。今の60代の人達はほとんどSNSを少なからずわかるのではないでしょうか。多分10年後にはその方々が総代会のメンバーになるのではないでしょうか。

 

 

納骨堂の建築に当たって

納骨堂を建築するときに、ホームページやロゴマークの話は結構な割合で議題に上がります。正直、ホームページを作っても問い合わせが来ることは稀です。しかし、現在の日常で何かを探すときにインスタを見たり、ホームページを見たりする方がほとんどではないでしょうか。例えば私の実家のある姫路市で納骨堂を探したい場合、検索ワードで姫路・納骨堂・浄土真宗とかを入れます。その時にインスタもホームページもなければヒットすることは皆無です。納骨堂を作っても既存の門徒さんの申し込みしか見込めないでしょう。私は納骨堂の設計が始まった時からお寺として肉体的・金銭的な負担を最小限にして寺院運営することをお寺の方と一緒に考えていきたいと思います。当然今の時代お金を出せばなんでもできる時代です。それを個々人の知識と知恵で賄うことは十分可能だと思っています。

 

 

意識

「ホームページがあっても何も変わらない」と言うのは半分当たっていますが、残りの半分は「お寺が何もしていないから変わらない」と思った方が良いと思います。これから人口が減っていき、同じように門徒さんも減っていくでしょう。今の門徒さんの様にお寺を身近に感じている方々も減っていくでしょう。
現実に門徒さんの数が減って来てからの意識改革では結果が出るまでに相当時間がかかります。意識を見直すのは、単に「変われ」という事ではなく、その結果「継続」は良いことだと思います。

 

設計事務所として意識していること

私の本業は設計事務所です。設計の依頼を受け竣工させることです。私が寺院建築で一番意識していることは「残る建築」を作ることです。それは単に耐久性の事ではなく、気持ちの中で「残したい」と思っていただける建築を設計することです。境内には本堂をはじめ沢山の日本建築がると思います。そのれらの伝統と合わせて100年後お互いが引き立てあい、境内全体が調和がとれた日本建築であってほしいと思っています。私にとって良い建築の条件は「残る建築」だと思っています。