Hitorigoto

ひとりごと

宝角建築アトリエのルーツ

時代を超えて感じる美しさ

宝角建築アトリエのHPがリニューアルされて初めての投稿になります。今回は寳角自身の設計士としてのルーツを書いてみたいと思います。私の故郷は兵庫県姫路市、言わずと知れた国宝姫路城のあるところです。画像にあるのが私の実家です。大きく見えますが、左側に見える大きな2段切妻の建物は江戸初期、将軍秀忠の頃からあるお寺で、小さい頃はお寺の蔵と思われていました。実家は明治の中頃に建ったそうです。道路は旧街道になり、街道に出て北を見ると姫路城の天守閣が見えました。廻りも空襲で焼けなかったので実家と似たような家が軒を連ね、当時は町並みは整っていました。そんな環境で育った私が「和」に思い入れを持ったのも必然かもしれません。明治の中頃に建てられた建築を現在に生きる私が「美しい」と思う感覚。「現代風」や「モダン」ではない古い建築に感じた美意識は私が建築を志すきっかけには充分な衝撃でした。

 

プロポーションの重要性

画像は奇麗に写っていますが、3年前に撮ったもので私が10歳の時に屋根の葺き替えと壁のしっくいを塗りなおしました。なのでかれこれ40年以上経っています。先ほども書いた様に、周りは似たような家がたくさんありました。それが、ある時美しい建物とそう思わない建物があることに気づきました。基本的な仕上げはどの建物も同じで、屋根は切妻の和瓦、2階部分はしっくい壁で換気のための虫籠窓があり、1階は杉板としっくいの2層壁です。仕上げが同じなのになぜ印象がそんなに変わるのだろうと思いました。

私の答えはプロポーションです。

どんなに腕の良い大工さんに手掛けてもらっても、どんなに有名な左官職人に塗ってもらっても結局はプロポーションが良くないとまったく意味をなさないと思いました。まずはプロポーションを大事に設計し、その設計の意図をくみ取っていただきながら腕の良い職人さんたちでさらにグレードを上げていくことが一番だと感じました。

 

完成形に何を求める

そうして手掛けた建物には「佇まい」と言うものが表れて「品」が出てくると信じています。私は仕事柄たくさんの人達とお話をさせていただくことがあります。固定概念を持たないように相手の職業や年齢は基本的に伺いませんが、男性女性問わずすごく「品」のある方が見えます。特にブランドの服を着られているわけでも、腕に高価な時計が見えるわけでもないです。多分内面から醸し出される雰囲気が「品」になっているように思っています。私は人間的に「品」はありませんが、そういう内面が表れてくるような建築が手掛けられたらと思っています。まだまだ未熟者でやっと建築の基本の「き」が出来るようになったように思っています。これからの設計士人生でもう少し上に登ってそこから感じる感性を建築に生かしていきたいと思います。

今回はひとまずこれにて