Hitorigoto

ひとりごと

チーム

建築にはチームが必要

私は意匠の設計事務所です。意匠図を書いていますが、他に構造図や設備図があります。住宅レベルですと特別な設備を使わない限り設備図は私が描きますが、構造図は構造事務所にお願いしています。当然大工ではないので、現場で何かを製作することもありません。ではチームとはどういうことでしょうか?私はお客さんに説明するときにオーケストラに例えて説明しています。私のポジションは作曲家でしょう。監督さんが指揮者、大工さんや建具屋さん・左官屋さんは概ねバイオリン・ビオラ・チェロと言ったところでしょうか。私の曲の意図を汲み取らずに指揮すると寂し気な曲が楽し気に聞こえるかもしれません。ビオラのテクニックが低いと曲全体のレベルが下がってしまいます。そういう意味合いでオーケストラと例えています。なので建築にはチームが必要だと思います。

 

遠方だとチームはつくれない?

私が普段仕事をしている東海エリアでないとチームが組めないか?と言うと「No」です。画像を添付している住宅は福岡県です。当然工務店さんは福岡の方々です。

この写真は当初の図面とは変わっています。垂木の先端が地面と平行に施工してありますが、当初は違っていました。これをすることで大工さんの手間は増えコストが上がります。しかし、大工さんの方から「この方が格好いいと思うのでやりましょう」と提案がありました。チームに必要なものは技術だけではなく、想いです。それぞれの職人さんの「いいものを作ろう」と言う思い。あと少しをみんなが心を一つにして前に進む想いがチームだと思っています。

こちらも仕上げは通常の土間コンクリート金鏝仕上げでしたが工務店さんが鏝を改良して塗ってくれて、土手も金属で囲って、スリットを入れてくれました。

 

欲しいものは目の前に見えるリアルであって、写真映えはいらない

建築の現場はすべての職人さんたちとのチームワークが無いとなかなか良いものにはなりません。今回載せた軒先や床の仕上がりなどは写真ではほとんど分かりません。しかし、生活レベルでの目線では常に見えるところなので、そのリアルな現実にどれだけ一人一人の職人が同じレベルで同じ方向を見れるかが完成度につながると感じています。設計側からも施工側からも図面通りに施工した・・・ではだめです。もっと良いものになるためには全員が疑問に思うことですね。大工さんはじめほかの職人さんたちとの「チーム」が自分たちの達成感につながりお施主さんの満足感につながったと思います。竣工写真はまだ撮れていませんが、アップ出来る日を楽しみにしてください。