Hitorigoto

ひとりごと

和風建築

宝角建築アトリエが考える和風建築

宝角建築アトリエへ、お問合せをいただいておりますお客様は「和風」特に「瓦の和風建築」を求めてらっしゃる方がほとんどです。私どもは特に和風に特化してきたつもりはないのですが、そういったお客様が多いので、ホームページのリニューアルでは「和」を重視したつくりとしました。

「和風」と言っても最近は細分化され「和モダン」や「古民家風」・「モダン和風」などいろいろとあるようです。個人的にその一つ一つのワードに定義があるかどうかは知りませんが、今回は宝角建築アトリエが考える流儀のようなものを書かせていただきたいと思います。

お問合せをいただくお客様によく言われることに「和風」と言っても昔ながらの「純和風」の入母屋作りを求めているわけではないですが、説明をして欲しいと言われると分からない。そこでSNSなどで検索するとモダン過ぎる和風か純和風が出てきてしまいます。そんな時に偶然、宝角建築アトリエの瓦の和風住宅を見て、こんな感じの和風が好みですとの問い合わせがほとんどです。

私が心がけているのは古臭くなく「垢ぬけた和風」です。垢ぬけたと言うのは人それぞれが思う印象だと思いますが自分なりな法則のようなものはあると思います。

こちらの画像は方形の家です。道路からの見え方として瓦・塗り壁・木をバランスよくレイアウトし、それ以上の構成を取り込まないようにしました。具体的に言うと色と素材の数を出来る限り少なくしたと言う事です。道路や標識などどうしようもないことがありますが、ベースは瓦・塗り壁・木の3つ。色も瓦のグレーと壁の濃いグレー、後は白木の計3色です。これ以外にあるのは基礎廻りのコンクリートと三和土床の土です。

TOPにある可哀荘も同じく瓦と塗り壁と木です。シンプルな構成に大屋根を載せて瓦が印象的になるようにしました。大屋根を載せると言う事もシンプルの要因の一つだと考えます。可哀荘も方形の家もどちらも平屋建てに見えますが2階建てです。2階部分の壁がないと言う事も構成がシンプルになった要因だと思います。
しかも低く長い軒を作ることでシルエットも綺麗に見えると思います。軒の高さは極力低く抑えるようにしていまして、具体的に言うと男性が手を伸ばせば届きそうな、もしくは届く高さです。この低さが屋根全体を下げて人の目線からも瓦屋根が象徴的に見えるのだと思います。
また多くの屋根に採用している「ムクリ」が瓦屋根の堅く重たい印象を少し柔らかい印象にしてくれていると思います。
このようなことが積み重なり「垢ぬけた和風」の印象になると考えています。決して瓦を使ったからとか漆喰で塗ったからと言う事で和風を表現するのではなく、シルエットや構成・バランスを私が考える「和風」にすることで成り立つと思っています。ちなみに瓦も万十瓦や一文字瓦など多数ありますが、宝角建築アトリエで採用しているものは軒先に立下りのないシンプルなものです。壁の色も一般的な和風の色ではないことが多いです。全体構成と一つ一つのディティール(詳細)を詰めることでより繊細な和風が表現出来たらと考えています。

観光立国を目指す日本にとって、日本の瓦屋根は一つの風景になると思っています。外国人が見た時に感じる日本の伝統的な瓦が現代にも今のスタイルに合わせて残ってくれたら大変うれしいですし、日本にスパニッシュ瓦があるように、海外でも和瓦が一つの素材になってくれたらと思っています。